私たち人間は、生命活動を維持するために食べ物から栄養を摂って生きています。食べ物に含まれる栄養には様々な働きがあり、目的にあった栄養を必要な分だけバランスよく摂取することが健康的な食生活を送る上で非常に大切になります。今回は食物に含まれる「栄養素」の種類や働きについて解説いたします。
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栄養素とは何か?
人間をはじめ、すべての生物が生命を維持するために栄養として外界から取り入れる物質を栄養素といいます。人間が生きるために必要な活動は、45~50種の栄養素の働きによって行なわれます。
中でも
- 炭水化物(糖質)
- 脂質
- たんぱく質
は、エネルギーを作り出すため「三大栄養素」といわれます。
この三大栄養素に
- ビタミン
- 無機質(ミネラル)
を加えたものを「五大栄養素」と呼びます。
五大栄養素 | 三大栄養素 | 炭水化物 |
脂質 | ||
たんぱく質 | ||
ビタミン | ||
ミネラル |
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栄養素の種類と働き
栄養素の体内での働き
栄養素は、体内での働きによって、エネルギー源(熱量素)となる炭水化物、脂質、たんぱく質と、体の構成成分(構成素)となるたんばく質、ミネラル無機質と、代謝調節(調節素)を行うビタミン、ミネラル(無機質)に大別されます。
また、食品中の栄養素が体内で分解・合成されるプロセスを代謝(または新陳代謝)といい、食品から取り込んだ栄養成分をもとに、代謝によって必要な物質を合成したり、変化させたり、エネルギーをつくり出したり、不要になった成分を分解して排泄する形に変えたりして再利用します。
エネルギー源(熱量素)
おもに熱になる
炭水化物とたんぱく質は体内で分解され、それぞれ1gあたり4kcal、脂質は1gあたり9kcalのエネルギーを生み出します。基礎代謝や身体活動を支えるエネルギー源として利用されます。その中でいち早くエネルギーに変わるのが糖質です。脂質も時間がかかりますが多くのエネルギーを生みだすことができます。たんぱく質は、普段は体をつくる材料として使われますが、体が飢餓状態になったときにはエネルギー源となって働きます。
体の構成成分(構成素)
おもに体を作るもととなる
たんぱく質は筋肉や臓器、血液、骨や歯などの体の組織を構成するもっとも重要な成分です。たんぱく質はこのほか酵素、ホルモン、免疫抗体、遺伝物質に脂質は細胞膜の構成成分になります。
代謝調節(調節素)
おもに体の調子を整える
ビタミンとミネラルは、おもに炭水化物、脂質、たんぱく質の代謝、体の諸機能の維持、血管、粘膜、皮膚、神経、筋肉、骨や歯の健康維持や新陳代謝を促します。カルシウムのように骨や歯の構成成分になるものもあります。活性酸素を無害化し、生活習慣病を防ぎます。
五大栄養素
栄養素が不足すると健康を損ねやすくなります。できるだけ効率よく栄養を摂取したいものですが、残念ながら体に必要な栄養素をすべて含む便利な食品というものはありません。多様な栄養素を含み準完全栄養食品といわれる鶏卵や牛乳ですら、ビタミンCのように含まれていない栄養素があるのです。
含まれる栄養素は食品ごとに異なるので、さまざまな食品を組み合わせて食べることが、多様な栄養素を満たす条件になります。
健康維持に必須とされる栄養素を、体内での働きが似たものをまとめて「三大栄養素」(炭水化物、脂質、たんぱく質)や「五大栄養素」(三大栄養素+ビタミン、ミネラル)に分類して考えることが一般的です。
炭水化物
エネルギー源になるいわゆる糖質と、機能性がある食物繊維の総称。
- 糖質と食物繊維から成る
- 糖質は即効性の高いエネルギー源
- 食物繊維は糖や脂肪分の吸収を緩やかにする
- 腸内環境をよくし、不要物を出しやすくする
- 穀類(ご飯、麺類、パン)、いも類、豆、果物、砂糖などに含まれる
脂質
脂質の大部分は中性脂肪。脂肪酸とグリセロールから構成されます。
- エネルギー源となる
- 脂溶性ビタミンの吸収を助ける
- 細胞膜やホルモンの材料となる
- 植物油や魚油、バター、ラード、牛脂、種実、魚介などに含まれる
たんぱく質
アミノ酸で構成され、必須アミノ酸のバランスが良いものが良質です。
- 20種類のアミノ酸から出来ている
- 体を作る材料となる
- 酵素を作り、新陳代謝に関わる
- ホルモンを作り、機能を調整する
- 抗体を作り、免疫力を高める
- エネルギー源となる
- 肉、魚介、大豆・大豆製品、卵、乳・乳製品などに含まれる
ビタミン
13種類あり、水に溶ける水溶性ビタミンと、油に溶ける脂溶性ビタミンに大別されます。無機質(ミネラル)と同様に、エネルギー源にこそならないものの、体の機能を正常に保つために不可欠です。有機化合物から成り、なかでも水溶性ビタミンは体にストックできないため、こまめにとるのがポイントです。
- 糖質などがエネルギーに変わるのを助ける
- 免疫力を高める
- 体の調子を整える
- 肌荒れなどを防ぐ
- 野菜、いも、果物、穀類に多く、魚介、肉類にも含まれる
ミネラル
無機質(ミネラル)は、地球上にある鉱物が水に溶けた形で体内に存在したものです。酸素、炭素、水素、窒素を除くすべての元素をいいます。微量でも健康維持に不可欠な必須ミネラルは現在16種類とされています。一日における必要量が100mg以上の多量ミネラルと、100mg未満の微量ミネラルとがあります。日本人は、カルシウムと鉄が不足しやすいため、意識的にとりましょう。ビタミンと同様に、エネルギー源にこそならないものの、体の機能を正常に保つために不可欠です。
- 骨や歯の材料になる
- 新陳代謝をサポートする
- 貧血を防ぐ
- 筋肉が正しく動くよう、サポートする
- 体の水分調整にかかわる
- 乳製品のカルシウム、レバーの鉄など、食品ごとに特徴がある
非栄養素系の食品因子
植物の色素、香り、アクの成分はファイトケミカルと呼ばれます。主に野菜、豆、果物などに含まれます。
まとめ
今回は私たち人間の生命維持活動のもととなる「栄養素」について紹介いたしました。エネルギーになる、体を作る、体の調子を整える、といった大きな働きを理解し、健康維持のために効率的に栄養素を摂るように心がけていきましょう。
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