ドライマウスとは、その名の通り口の中が乾いてしまう病気です。口の中が乾きやすくなる、ねばねばする、乾いたものが食べにくい、うまく話せないなどで命に関わることはありませんが、放っておくと重大な病気につながることがあるので決して油断できません。感染症にかかりやすくなり、誤嚥性肺炎を起こすこともあります。
今回はドライマウスの症状やかかってしまう原因、治療の仕方などについて解説いたします。
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ドライマウスとはどんな症状の病気なのか?
ドライマウスは正式には「口腔乾燥症」といい、唾液の分泌量が少なくなり、口が乾き、口の中がネバネバする症状が現れます。
進行すると、
- 話しづらい
- 物が噛みにくい
- 入れ歯を入れていられない
- 舌がひび割れて痛む
などの症状が見られ、
- 口内粘膜の発赤
- 口角炎
- 歯周病の進行
- 口臭
- 口腔カンジダ症
などを発症することもあります。
唾液に含まれる抗菌物質には、ウイルスや細菌の増殖を抑える作用がありますが、免疫が落ちたり、唾液の量が少なくなったりすると、その作用が損なわれ、細菌やウイルスが繁殖してしまい、感染症にかかりやすくなってしまうのです。高齢者であれば、かぜやインフルエンザなどの感染症が命とりになることもあります。口の中の雑菌が誤って肺に入って肺炎となる、誤嚥性肺炎も起こしやすくなります。
ほかにも、ドライマウスの人は
- 咽頭炎
- 食道炎
- 胃炎
などを起こしやすく、また口の中の感染症である、
- 虫歯
- 歯周病
にかかりやすくなります。そのほか、健康であれば悪さをしない口の中の「カンジダ菌」が繁殖し過ぎてしまい、口臭や舌の痛み、味覚障害を起こしたり、ということもあります。ドライマウスは単独の病気ではなく、他の病気のサインと捉えて早めに原因を究明し、症状を改善することが大切となります。
ドライマウスは何が原因で起こるのか?
口の中が乾くのは”老化によるもので仕方がない”と思っている方がいますが、老化で唾液の分泌が減るといっても、それはせいぜい10%ほどと言われています。老化だけでなく複合的な原因があってドライマウスが起こるのです。
唾液減少の原因としては、加齢にともなう唾液腺の老人性委縮の他にも、糖尿病や腎臓病、薬物(鎮痛薬、利尿薬、降圧薬など)の副作用、口呼吸、精神的ストレス、シェーグレン症候群などが考えられます。また、日本人の食生活の変化でやわらかなものばかり食べるようになったことも、唾液の分泌が減った原因と言えるでしょう。
薬の副作用
多種類の薬がドライマウスを引き起こしますが、原因となる薬は
- 降圧剤
- 向精神薬
- 抗うつ剤
- 抗ヒスタミン剤
- 鎮痛剤
- 利尿剤
など、どれもよく使われているものばかりです。実際にドライマウスの患者の多くは多種類の薬を飲んでいる人が多いと言われています。
このことは、ベースに糖尿病や動脈硬化や高血圧などの生活習慣病が存在し、いろいろな薬を服用しているという実態があり、そのうえ、ストレスを抱えていたり、食生活に問題があったりするといった相乗効果によって、ドライマウスが引き起こされていると言えるのです。
しかも女性の場合には、更年期という要素もが関わってきます。唾液腺や汗腺などの外分泌腺は性ホルモンによって調節されていますが、更年期で性ホルモンの変動が起こるとその影響で外分泌腺の働きが落ち、口や目や皮膚、膣などが乾くことがあるのです。更年期の3〜4割の方はこの乾燥症候群に悩むといわれています。これもまたドライマウスの原因のひとつとなります。
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ドライマウスの治療はどんな方法でおこなうのか?
ドライマウスの原因となる病気が明らかな場合はその治療を行ない、その病気が難治性の場合は、人工唾液、口腔粘膜保湿剤、漢方薬などによる対症療法が行なわれます。原因が複合的なだけに、治療もさまざまなのです。受診する科は歯科や口腔外科などになります。
例えば、カンジダ菌による舌の痛みなどがあるケースなら、それを取り除く必要がありますし、不快感を取り除くことも大切です。そのために口腔内のケアはとても重要になりますから、まずは歯ブラシやそのほかの器具の使い方など、正しいケアの仕方の指導を受けます。
高血圧の方の場合では、薬を飲むと口が乾く副作用があるとわかっていても、その薬を使用せざるをえない方もいます。そうした時には対症療法で口の中の保湿剤を使うこともあります。
いかなる場合でも、同時に進められるのは原因別の治療です。例えば薬の副作用が考えられるときは薬を替える、更年期が関わるケースでは婦人科を受診する、ストレスが強いときは心療内科的な対応をするなど、様々な治療が行なわれます。
ドライマウスのチェックリスト
自分がドライマウスかどうか気がかりな方は次のチェックリストを試してみてください。リストのうち、1に該当し、2〜9のいずれかの症状がある場合はドライマウスの可能性が高いと考えられますので、一度専門医を受診したほうが良いでしょう。
- 口の乾きが3カ月以上続いている
- あごのの下が繰り返し、あるいはいつも腫れている
- 乾いた食べ物を飲み込む際に、しばしば水を飲む
- 水をよく飲む
- 乾いた食品が飲み込みにくい
- 口の中がねばねばする
- 口の中が粘って話しにくい
- 口臭がある
- 義歯で口の中が傷つきやすい
まとめ
不快な口の乾きが治まらないドライマウスのつらさは、体験した人にしかわからないものです。ドライマウスにかかってしまったら、少しでも症状を改善し、快適な生活を送るために早めに専門医を訪ねることが大切です。
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