健康な赤ちゃんが静かにしている時の呼吸数は、新生児で1分間に40回くらいと大人よりやや多めです。その後、成長とともに少しずつ減っていきますが、何らかの原因で酸素が不足してくると、酸素をより吸収しようと呼吸が速くなる症状が現れます。赤ちゃんの呼吸が速ければ速いほど苦しい状態にいるという重要なサインなのです。
今回は赤ちゃんの呼吸が苦しそうな時の症状や原因や対応方法について解説いたします。
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赤ちゃんの呼吸が苦しそうな時の症状別の原因と対処法
赤ちゃんの呼吸が苦しそうな時に熱がない場合の対処法
■あばれまわったあと呼吸が速くなる場合は
運動量に応じて呼吸は速くなるものなので、特に心配はいりません。
■季節の変わり目や風邪をひくたびに、ゼーゼーしたりヒーヒーと音のする呼吸をして、咳がとまらず呼吸が苦しそうな場合は
- ぜんそく様気管支炎
- 気管支ぜんそく
の疑いがあります。早めに小児科へ連れて行きましょう。
■咳き込んだあと、ヒーヒーと息を吸い込み、苦しそうな場合は
- 百日ぜき
の疑いがあります。早めに小児科へ連れて行きましょう。
■息を吸うときヒーヒーと音がし、犬の遠吠えのような咳で、昼間は比較的元気だが、夜になると悪化することが多く、胸やおなかがペコペコとへこむようになる場合は
- 急性声門下喉頭炎(仮性クループ)
が疑われます。至急病院へ連れて行きましょう。
赤ちゃんの呼吸が苦しそうな時に熱もある場合の対処法
■風邪の症状があり、呼吸がいつもより速くなる場合は
- 軽い風邪の初期症状
と考えられます。特に心配いりません。
■風邪の症状があり、咳がひどくなりゼーゼーする場合は
- 細気管支炎
の疑いがあります。早めに病院へ連れて行きましょう。
■38度以上の高熱で、咳が続けて出たり、痰(たん)がからみ、ゼロゼロいう場合は
- 急性気管支炎
の疑いがあります。至急病院へ連れて行きましょう。
■顔色が青白くなり、機嫌が悪く、食欲もなくぐったりしていて、呼吸はだんだん速く、鼻をピクピクさせて空気を求めてあえぎ、呼吸する時に胸やお腹がペコペコとへこむ場合(普通は高熱が出るが、熱の出ないこともある)は
- 急性肺炎
の疑いがあります。大至急病院へ連れて行きましょう。
■突然高熱が出て、呼吸が浅く速く、呼吸のたびに鼻をピクピクさせて、苦しそうにあえぎ、進行も急激な場合は
- 細菌性肺炎
- 急性喉頭蓋炎
が疑われます。大至急病院へ連れて行きましょう。
■高熱と咳、呼吸困難が起こり、意識が朦朧(もうろう)としてきたり、顔や唇が青紫色になったりする場合は
- 膿胸(のうきょう)
が疑われます。大至急救急車で病院へ連れて行きましょう。
呼吸が苦しくなる場合にはいくつかの病気が考えられますが、主なものは風邪、扁桃炎、ぜんそくなどが挙げられます。異物を飲み込んだりした場合も息がつまり、呼吸するのが苦しくなります。
また、赤ちゃんは口で息をするのが上手にできず、鼻づまりをおこすと呼吸が苦しくなったりすることがあります。顔色や機嫌など全体の様子を見て、緊急を要するものかどうかを判断しましょう。
心配な呼吸の乱れ
大至急病院へ
次のような場合は、大至急病院へ連れて行きましょう。病状によっては入院しなければならないこともあります。
- 呼吸困難で苦しがる
意識が朦朧(もうろう)としてきたり、顔や唇が青紫色になるチアノーゼを起こしたりすると、生死に関わることもあります。ゆっくり様子を見ている場合ではありません。大至急病院へ。
- 小鼻をピクピクさせて、空気を求めてあえぐような呼吸になった
このような場合は熱がなくても、至急病院へ連れて行きましょう。
- 呼吸困難で胸やおなかがペコペコとへこむようになった
- 呼吸が荒く速い、熱が高い、顔色が悪い、ぐったりする、うめき声を出すなどのとき。
このような場合は肺炎などの疑いがあります。赤ちゃんは病気の進行が早いので、すぐに病院へ連れて行きましょう。
翌日の診察時間内に病院へ
次のような場合は、翌日の診察時間内に病院へ連れて行きましょう。
- 咳き込んだあと、ヒューヒュー息を吸い込み苦しそう
これは百日ぜき特有の症状です。
- 息苦しそうにしながら、犬の遠吠えのような咳をする
気管の入り口が炎症を起こしたもので、仮性クループという病気です。
- 熱がなくて、ゼーゼーしたり、咳がとまらず呼吸が苦しそう
ぜんそく様気管支炎や気管支ぜんそくの疑いがあります。
注意したい赤ちゃんの症状
- 顔色、唇の色はどうか。青紫色になるチアノーゼを起こしていないか
- 呼吸のたびにお腹や胸のあたりがペコペコとへこまないか
- 意識はしっかりしているか
- 小鼻をピクピク動かしていないか
以上のような症状が出ていれば、直ちに救急車を呼びましょう。
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心配のない呼吸の乱れ
次のような場合は、まず心配はいりません。
- 風邪が原因で呼吸が乱れる
鼻づまりの他に、風邪などで発熱した場合などでも、いつもより呼吸が速くなることがあります。肩で息をしたり、ぐったりするなどしていなければ、特に心配ありません。ただ、風邪の症状から次第に咳がひどくなり、ぜんそくのようになる細気管支炎もあります。風邪の時はいつもよりていねいに赤ちゃんを観察しましよう。
- あばれまわったあとに呼吸が乱れる
動きまわったりあばれたりすれば、当然呼吸は速くなりますので、呼吸の様子は静かに落ち着かせてから見るようにしましょう。ほとんどの場合は心配いりません。
ホームケアご家庭での看病の仕方
風邪のときはいつもよりしっかり観察を
風邪だと思って油断していたら、気管支炎を起こしたり、気管支炎が進行して肺炎になってしまったという事例は珍しくありません。風邪をひいた時は、息づかいや機嫌のよしあしをいつもよりしっかり観察して、少しでも変わったことがあったら、すぐにかかりつけの医師に相談するようにしましょう。保温や湿度には細心の注意を払い、激しい運動は避けるようにして下さい。
ぜんそくは薬を効果的に使って
発作が起きた時の対応の仕方については、普段からかかりつけの主治医によく聞いておき、発作が起きる前に薬を飲ませて発作の予防をしたり、軽くすませるようにします。いざ発作を起こしてからでは、回復に時間がかかってしまいます。
肺炎のときのホームケア
部屋の中の温度を20度前後に、湿度は60%くらいを保つように注意します。乾燥している時は、部屋の中で湯気をたててやるなどしましょう。また、肩に小さな枕などを当てて上体を少し高くし、呼吸がしやすいようにします。
水分も十分に摂らせ、食欲が出てきたら、栄養の補給に注意して体力の回復を促しましょう。息づかいや機嫌のよしあしにも注意して、何か変わったことがあったら、すぐに医師に連絡しましょう。仮性クループの場合もほぼ同じようなケアをします。
まめな水分補給をこころがける
赤ちゃんの気管支は細く、咳をする力も弱いため、気管支の中に痰(たん)などがからみやすいものです。水分は、咳や痰を出しやすくしますので、湯冷ましを少しずつ飲ませるなどして、たっぷりと補給するようにして下さい。
呼吸困難の時の応急手当
呼吸困難の時には次のような対応をします。
- 呼吸が速く、大至急病院へ向かわなければならない時は、衣類のボタンをはずしたり、おむつをゆるめるなどして、出来るだけ身体を楽にします。上体が起きているほうが呼吸しやすいので、抱っこして、楽に呼吸できる姿勢にします。
- 異物を飲んで苦しそうに咳をしているものの、なんとか呼吸ができている場合は、何もせずに急いで病院に連れて行きます。
- 呼吸困難による酸素不足でチアノーゼ(顔色や唇や爪の色が青紫色になる)が起きていたら救急車を呼び、そのあいだに赤ちゃんを横向きに寝かせ、両手で胃を急激にギュッと押します。この方法で飲み込んだものを吐き出させることもできます。
まとめ
今回は赤ちゃんの呼吸が苦しそうな時の症状や原因や対処法について解説いたしました。風邪などの症状によるものなら心配はいりませんが、重篤な病気や異物が喉に詰まっているケースなどもありますので、異変を察知した時はどの程度深刻な症状なのか冷静に判断しましょう。ご自身の判断だけでは不安な場合は早めに病院に連れて行きましょう。
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