赤ちゃんはひきつけを起こすと意識を失い、身体を後ろに反らせて全身を震わせます。初めて体験する親御さんは相当ビックリなさるかと思いますが、3歳未満の子供は脳細胞が未成熟なため、急な熱の上昇によってひきつけが非常に起こりやすいのです。
通常は3分もすれば治まりますので心配がいりませんが、時には別の心配な症状のひきつけが起こることもありますので、基本的な知識は身につけておいたほうが良いでしょう。
今回は赤ちゃんのひきつけについて解説いたします。
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赤ちゃんのひきつけの症状と原因と対応の仕方
赤ちゃんのひきつけは、熱の出始めによく起こります。慌てないで症状をよく観察し適切な対応をするようにしましょう。
ひきつけを起こした時に熱がない場合の対処法
■怒って大泣きしている最中に呼吸がとまったようになり、終わったあとはケロッとしている場合は
- 泣き入りひきつけ(憤怒けいれん)
と考えられます。特に心配はいりません。
■乳幼児ではじめのひと泣きのあと、数十秒間息をとめ、けいれんを起こす場合は
- 泣き入りひきつけ(憤怒けいれん)
と考えられます。特に心配はいりません。
■元気よくはしゃいでいたのに急にぼんやりして意識を失ってひきつけたり、ひきつけのあとに意識が戻らない場合は
- てんかん
- 脳腫瘍
などの疑いがあります。早めに小児科へ連れて行きましょう。
■ひきつけたとき、頭を前後にカックンカックンとふったり、バンザイのような格好をくり返す場合は
- てんかん
- 脳腫瘍
などの疑いがあります。早めに小児科へ連れて行きましょう。
ひきつけを起こした時に熱がある場合の対処法
■熱の上がり際にひきつけ、数分で治まる場合は
- 熱性けいれん
と考えられます。初めての場合は小児科へ連れて行きましょう。
■熱の上がり際にひきつけ、数分でおさまる症状が1日に何度も繰り返される場合は
- 熱性けいれん以外の原因
が疑われます。早めに小児科へ連れて行きましょう。
■高熱でけいれんが10分以上続く場合は
- 複合型熱性けいれん
の疑いがあります。早めに小児科へ連れて行きましょう。
■ひきつけが、からだの片方の側だけに起きる場合は
- 複合型熱性けいれん
の疑いがあります。早めに小児科へ連れて行きましょう。
■高熱でひきつけ、その後意識が戻らず、吐くときもある場合は
- 脳炎
- 髄膜炎
の疑いがあります。大至急病院へ連れて行きましょう。
生まれてから、5〜6歳くらいまでの子どもひきつけ(けいれん)というのは決して珍しいことではありません。6か月から2歳くらいの乳幼児の場合では、20人にひとりくらいの割合で起こると言われています。
熱が出始めて上昇する時、大人は寒気を感じて身体が震えますが、赤ちゃんの場合は代わりにひきつけを起こすのです。
赤ちゃんが身体を硬直させ、歯をくいしばらせてガタガタ震えたりすれば、経験のないお母さんは動揺してしまうことが多いようですが、ほとんどの場合は2〜3分で治まってしまいます。慌てて救急車を呼ぼうとするお母さんもいますが、まずは落ち着いて赤ちゃんの様子を観察するようにしましょう。こういったひきつけ(熱性けいれん)は、治まってしまえばケロッとしていますし、後遺症が残ることもありません。
ただし、初めてひきつけを起こした時には、治まったあとで必ず診察を受けるようにしましょう。
心配なひきつけの症状
次のような場合には、至急病院へ連れて行きましよう。
熱がないのにひきつけが起きた
てんかんの可能性がありますが、てんかんには様々なタイプがあります。
- 元気よくはしゃいでいた子どもが急にぼんやりして意識を失ってひきつけたり、治まったあともぼんやりしている。
- ひきつけた時、頭を前後にカックンカックンとふる。
- ひきつけた時、バンザイのような格好をくり返す。
などの症状が見られる場合は、ひきつけが治まってから小児科に行き、脳波検査を受けてみましょう。
- 高熱でけいれんが10分以上も続き、ひきつけのあと、意識が戻らなかったり、吐いたりする。
この場合は脳炎や髄膜炎などの可能性があります。夜でも大至急病院へ連れて行きましょう。
- ひきつけが身体の片方の側だけに起きる(熱性けいれんは、左右対称に手足を動かします)。
- 熱性けいれんと思われるが、1日に何度もくり返してひきつけを起こす。
このような症状の場合も早めに診察を受けるようにしましょう。
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心配のないひきつけの症状
泣き入りひきつけ
怒って大泣きしている最中に、息が吸い込めなくなって、呼吸が止まったようになるひきつけがあります。これは「泣き入りひきつけ」(憤怒けいれん【ふんぬけいれん】)と呼ばれるもので、心配ないものです。ひきつけたあとは後遺症もなくケロッとしています。憤怒けいれんを起こすからといって、何でもいうことを聞いてやるなど甘やかす必要はありません。ダメなときにはしっかりダメと言うようにしたほうが、その後のためにはよいでしよう。
熱性けいれん
熱の上がり際にひきつけが起こり、そのあと数分で治まって、あとはケロッとしているようなら、熱性けいれんなので心配ありません。中には体質的なものか、くせのようになって熱のたびにひきつけを起こすケースもあります。通常は小学校に行くようになるまでには、ひきつけはなくなるので心配はいりませんが、初めての場合は一度小児科に行きましょう。
ひきつけの時の赤ちゃんの観察のポイント
どんな症状のひきつけを起こしたかが、病気の判断に重要なポイントになります。小児科や病院へ連れて行く際にも、どのような様子だったかを医師に伝えることは適切な診断を受けるためにも大切ですので、落ち着いて観察をしましょう。
- けいれんは何分くらい続いたか
- どんなひきつけだったか(目の動き、手足のつっぱりかた、体をどのように動かしたかなど)
- 治まってから意識があったかどうか
- 熱、嘔吐などの症状はあったか
ホームケア 家庭での看病の仕方
たいていのひきつけは数分以内に治まりますから、慌てないで、衣類をゆるめ、風通しのよい部屋で赤ちゃんを安静に寝かせておきましょう。
熱が出た時は、頭を冷やし、意識がない時は、顔を横向きに寝かせておいて、赤ちゃんの様子をよく見ましょう。もちろん、もとに戻ってからも継続して赤ちゃんの様子をよく観察しておきます。
また、ひきつけた時に次のような対応はしてはならないのでご注意ください。
- 慌ててゆさぶったり動かしたり、大声で名前を呼びかけたりするなど、刺激を与えてはいけません。
- 舌を噛むのではと心配して、スプーンやお箸、指などを子どもの口に入れる親御さんがいますが、舌を噛むことはありません。スプーンなどを入れると、かえって口の中を傷つけることになりますので口には何も入れないで下さい。
ひきつけたときの応急手当
- おむつや服のボタンなどははずして、できるだけ衣類をゆるめるようにします。
- 吐いたりした場合に気道をふさがないように、顔は横に向け、静かに寝かせます。治まったあとは水分を与えます。
- 10分を過ぎても治まらない場合 は、大至急救急車を呼んで病院へ連れて行ってください。
熱性けいれんの予防
過去にひきつけたことがある場合や、ひきつけがくせになっている場合、または両親が幼少のころに熱性けいれんの経験のある場合は、熱が上がってきたときに解熱剤(座薬)を使ってけいれんを防ぐことができます。
また、けいれんを予防する抗けいれん剤を処方してもらうこともできます。医師に相談してみましょう。
ただし、座薬を使う目安は熱が38.5度以上になった時に限られます。大して熱もないのに、頻繁に座薬を使うのはNGです。
ひきつけではないもの
高熱を出した赤ちゃんが、ときどきからだをピクピクさせることがあります。これは、熱のためにからだが敏感になっているせいで、ひきつけとは違います。
まとめ
今回は赤ちゃんのひきつけについて解説いたしました。泣き入りひきつけのような心配のいらない症状もあれば、てんかんや脳腫瘍のような深刻なケースもありますので、実際にひきつけが起こった時には、何が原因のひきつけなのかを冷静に判断するようにしましょう。重篤な病気が疑われる症状の場合は一刻も早く病院に連れて行きましょう。
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