統合失調症

統合失調症とは精神疾患の一つで、人口の約1%に見られる病気です。かつては精神分裂病と呼ばれていました。発症年齢は低く、年をとってから発症することはあまりありません。研究と医療の進歩によって、早期の薬物療法で症状の改善が期待できるようになり、かつてと比べると病気を取り巻く社会環境も大きく変化しつつあります。今回は統合失調症について解説いたします。

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統合失調症とはどのような症状の病気なのか?

統合失調症はおもに青年期に発症するこころの病気です。かつては精神分裂病とよばれていました。受診科は精神科になります。

思春期のころから青年期にかけて発症する事例が多く、かつては治りにくい病気と言われていましたが、最近は早期治療や薬の開発によって日常生活を送れるほど回復する人も増えています。発症率は1%弱と、比較的ありふれた病気で、不登校や引きこもり、限局性学習症などが統合失調症によるものだったということもあります。

症状は、幻覚、妄想などの陽性症状、気分や意欲の落ち込みなどの陰性症状、集中力や記憶力の低下などの認知障害の3つに大別されます。

幻聴は、得体の知れない声や人が自分の悪口を言っているのが聞こえるというものです。ありえないものを見たり聞いたり感じたりすることなどで、患者さん本人はかなり消耗します。陰性症状は、それまで好きだった趣味などへの感心が低下する症状です。さらに認知機能の低下は、学校生活や社会人生活を送ることを困難にします。患者さんはあせりが出たり、自分はだめな人間と思い込み、自尊感情が損なわれ追い詰められていきます。

統合失調型パーソナリティ障害、妄想が1か月以上続く妄想性障害などを合わせて統合失調症スペクトラム障害といいます。

<発症した後の流れ>

いずれの型でも、発症から快方に向かうまで、急性期、回復期、安定期の段階に分けられています。

  1. 急性期
    前触れとして、自分に対する周囲の不穏な空気を感じることがあるといわれます。
    ほどなく実際には存在しないものが見えたり聞こえたりする幻視、幻聴などの陽性症状が起こる時期です。ほとんどの場合、誰かが自分の悪口をいっている、というような被害的なものが多く、事実でないことを事実と認識する妄想の症状とリンクし、「食事に毒を入れられた」「電話で自分の悪口をみんなにふれまわっている」と思い込むようになり、徐々に悪化します。
    不眠、動悸、頭痛、疲れなど、検査をしても異常がみられない症状も現れるようになり、ひじょうにつらい状態です。
  2. 回復期
    急性期のような激しい症状は治まり、今度はやる気が出ずにこもってしまう陰性症状が出てきます。急性期同様、幻覚や妄想はみられますが、意欲の落ち込みがひどくなります。ただし、急性期ほどの不安や恐怖感情はなく、表情が乏しくなるなど、感情が鈍くなっていく傾向があります。
  3. 安定期
    回復期が数か月続いた後の期間をいいます。

【症状】

  • 陽性症状:妄想、幻覚、思考障害、奇異な行動
  • 陰性症状:自閉、感情鈍麻、思考や意欲の低下
  • 認知障害:集中力や記憶力の低下

<統合失調症スペクトラム障害のおもな分類>

  • 統合失調型パーソナリティー障害
  • 妄想性障害
    妄想が1か月以上続く。
  • 短期精神病性障害
    1か月未満で、妄想、幻覚、まとまりのない発語、ひどくまとまりがないまたは緊張病性の行動のいずれか1つが現れる
  • 統合失調症様障害
    妄想、幻覚、まとまりのない発語、ひどくまとまりがないまたは緊張病性の行動、陰性症状のうち2つが1か月以上6か月未満現れる
  • 統合失調症
    妄想、幻覚、まとまりのない発語、ひどくまとまりがないまたは緊張病性の行動、陰性症状が6か月間現れる
  • 統合失調感情障害
    統合失調症と同時期に抑うつ障害もしくは双極性障害が現れる
  • 物質・医薬品誘発性精神病性障害

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統合失調症はどのような原因で発症するのか?

統合失調症が発症する原因は解明されていませんが、遺伝や、脳の変化、妊娠期や出生時の障害の影響、性格や気質、ストレスなどいくつかの危険因子が重なって発症するのではないかと考えられています。

【原因】

  • 不明
  • 脆弱、ストレス仮説:遺伝的素質+環境因子
  • 陽性症状:ドーパミン神経系の過剰反応が関与
  • 陰性症状:前頭葉の機能低下が関与

統合失調症の治療法は?

統合失調症の治療の内容は病気の段階で異なりますが、基本は抗精神病薬による薬物療法になります。薬は進行や症状によって異なりますが、副作用が強く出ることもあるため、経過には注意が必要です。薬の管理や服用が難しい場合は入院して治療します。

症状の改善後は、作業療法やグループ活動でのレクリエーション、生活技能訓練などを行います。

再発するケースも多く、眠らなくなったときは注意が必要です。

青年期に発病した人は加齢に伴って穏やかになる傾向があります。

  1. 急性期
    治療は抗精神病薬による薬物治療が中心です。基本的には外来での治療ですが、症状がひどかったり、薬をきちんと飲むのが難しいときは入院による治療となります。
    抗精神病薬には副作用の強く出やすい第1世代と副作用が出にくい第2世代があります。どちらも脳に作用する薬で、人によって効き方も副作用の現れ方も異なるため、慎重に薬を選びます。形態も、飲み薬だけでなく注射のものもあり、長期間効き目を持続させることもできるので、患者さんの状況によって選ばれます。
    抗精神病薬のおもな副作用は、
    (1)パーキンソン病のような手や脚の震え
    (2)眠気、ふらつき
    (3)喉の渇き
    (4)排尿や排便が困難になる
    (5)貧血や不整脈
    (6)体重の増減など、多岐にわたります。
    薬で十分な効果がみられないときは、身体療法である電気痙攣療法を行うことがあります。本人が落ち着いていれば、精神療法や規則正しい生活を行うなどの生活指導も効果があるといわれます。
    治療が適切に行われていれば、たいていは急性期は数か月ほどで治まります。
  2. 回復期
    急性期の後にくる回復期は半年以上続きます。抗精神病薬を使用しつつ、気持ちが安定するように落ち着いた環境をつくりながら、陰性症状を抑えるために、必要に応じてほかの薬も併用して治療を行います。
    おもに陽性症状を抑えることに重きをおいた急性期と異なり、回復期では患者さんの生活を再建させることを重視します。
    長期的な社会復帰を視野に入れて、グループで活動する集団精神療法、指導者のもと娯楽を行うレクリエーション療法など、集団作業を行う精神療法もこの時期に始まります。
    急性期のような激しさはないものの、不安やあせりで患者さんは苦しい思いをしていますので、家族の理解と協力が大事です。
  3. 安定期
    通院による経過観察をしつつ、社会復帰への準備に入ります。
    回復期に始まった精神療法を継続しつつ、さらに生活のための生活技能訓練も始まります。これらのプログラムには、日帰りのディケア、宿泊によるプログラムなどがあります。改善がみられてきたら職業に就くためのリハビリもあります。
    社会復帰にあたっては、医療機関だけでたく、自治体の窓口、地域支援センターなど、サポートのための社会資源を活用することができます。
    この時期は、経過によっては、薬の使用量が減る人もいますが、通院による経過観察は続きます。調子がよいからと自己判断で薬や通院をやめることは、再び悪化することにもつながりかねません。再発すると、症状が治りにくくなりますので、継続することが重要です。
    統合失調症は回復しない病気ではありませんが、社会復帰までの時期は人によって異なります。再発することもありますので、サインを見逃さないようにします。症状や経過には個人差があり、長期的なサポートが必要です。

まとめ

今回は統合失調症について解説いたしました。発症に至る経緯は人それぞれになりますが、誰でも共通して心がけたいことは、生活のストレスを減らし、十分な睡眠をとるなど、規則正しい生活を送ることです。発症した場合は、人との交流や集団生活を苦手とすることが多いので、周囲の人たちの価値観だけを優先せず、本人に合わせた生活環境を整えることが大切でしょう。地域的な支援が必要なこともありますから、他人事ととらえずに、日頃から病気への理解と関心を持ち合わせていたいものです。

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