乳がんとはどんな症状の病気なのか?原因や治療や手術の方法は?

乳がんは、がんの中でも日本女性がかかる割合のトップを占め、その割合は年々増加の一途をたどっています。50年前は乳がん位かかる女性はおよそ50人に1人でしたが、現在では約14人に1人と言われ、年間6万人以上が乳がんと診断されています。また、乳がんで死亡する女性の割合も年々増加しており、今では年間約1万3,000人が亡くなっています。これは乳がんを発症した人の30%程度にあたります。30歳〜64歳の女性に関しては乳がんが死亡原因の第1位となっています。

今回は、女性なら誰もが心配な「乳がん」の症状や原因や治療法について解説いたします。

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乳がんとはどんな症状の病気なのか?

乳房にできる悪性腫瘍のなかでもっとも多いのが乳がんです。乳管からできる乳管がんが9割近くを占め、ほかに乳腺小葉から発生する小葉がん乳頭にただれや湿疹様の変化が起こるパジェット病などがあります。

乳がんは、乳房にしこりができて気付くことの多い病気です。他のがんのような身体の不調は初めはまったく現れません。しこりは乳房の外側上方にもっともできやすく、次いで内側上方、乳頭周囲、外側下方、内側下方の順です。

しこりの表面は、でこぼこしていてかたく、動きにくいものが多いのですが、比較的やわらかい場合もあります。強く押してみてもあまり痛みは感じません。また、指でつまむと、えくぼのようなにへこんだり、腕を上げ下げすると、しこりのある部分の皮膚がひきつれてへこむことがあります。

また、早期の乳がんはしこりがなく、乳頭から血液の混じった分泌物が出ることがあります。進行した乳がんでは潰瘍ができたり、潰瘍部から出血が起きたり、皮膚が赤く夏みかんの皮のようにむくんでくる場合もあります(炎症性乳がん)。リンパ節に転移すると、脇の下のリンパ節がかたく腫れることもあります。

乳がんの自己検診

乳がんは自分で発見できる数少ないがんのひとつです。自己検診を毎月1回、日にちを決めて行うことで、早期発見につながりますので、ぜひ実践していただければと思います。

自己検診では、しこりやひきつれ、乳頭のびらんや異常分泌、皮膚の発赤やむくみの有無を調べます。受診のタイミングですが、月経前を避け、月経が始まった後1週目ころに行なうのが良いでしよう。閉経後の人は、いつ調べても構いません。

触診でしこりを調べるためには、仰向けに寝た状態で行なうとわかりやすくなります。乳房の外側は調べる乳房と反対の手を使い、内側は同側の手を使って、第2〜4の指の腹でなでるように乳房全体をまんべんなく触れて調べてみてください。続いて、脇を触り、コリコリするリンパ節がないかどうかを確認します。

次に、鏡の前に立ち、腕を上げ下げして皮膚のひきつれがないかチェックします。

最後に、乳頭をつまんで異常な分泌物が出ないかを確認します。

乳房にできる腫瘍には良性のものもありますが、しこりなどの異常がみられた場合はできるだけ早く医師の診察を受けることが重要です。

しこりが2cm以下でリンパ節に転移がないものを早期乳がんといい、10年生存率は95%と非常に良好です。このことから乳がんは早期発見と早期治療がいかに重要かご理解いただけるかと思います。

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乳がんは何が原因で起こるのか?

乳がんは、他のがんと同様に明確な原因は解明されていませんが、女性ホルモン(エストロゲン)が関係していると考えられています。

女性ホルモンの影響を受ける期間、つまり月経のある期間が長くなったことが患者数の増加に関係していると考えられています。これは、食生活の変化などによって女性の体格がよくなったためと推察されています。

乳がんになりやすい人の条件としては、

  • 30歳以上で未婚である
  • 30歳以上で初めて出産を経験した
  • 55歳以上で閉経した
  • 過体重である
  • 母親や姉妹が乳がんになった

などがあげられます。

乳がんの治療や手術はどんな方法でおこなうのか?

乳がんの受診科は乳腺外科や外科になります。治療の基本は手術療法です。ひと昔前までは、乳房全体と胸の筋肉、脇の下のリンパ節を切除する方法が多く用いられていましたが、次第に筋肉を切除する方法は行われなくなり、現在では乳房の一部のみを切除する乳房温存療法が増えてきました。この方法は、しこりが3cm以下で乳房内にガンが広がっていない場合に限って行われます。

リンパ節については、最初に転移を起こす可能性のあるリンパ節だけをとって調べる「センチネルリンパ節生検」が行なわれるようになりました。この方法は転移がなければリンパ節の郭清(かくせい=切除)は行なわずに済むため、腕のむくむ心配やリハビリテーションの必要がなというメリットがあります。

また、手術で乳房を切除した場合は、シリコンのパックや、腹部や背中の組織を移植して乳房を再建する「乳房再建術」(にゅうぼうさいけんじゅつ)も可能です。

手術後は再発予防の治療と共に、定期検診を受け、乳がんの転移や再発がないか経過を観察することが重要になります。

乳房再建術

乳房再建術とは、手術によって失った乳房を再建する手術法です。欠損した部位の状態や、人工物を用いるか自分の組織(自家組織)を用いるかによって、方法が異なります。

人工乳房による再建

シリコンなどのインプラント(人工乳房)を皮下(大胸筋下)に埋め込む方法です。まずエキスパンダー(組織拡張器)を入れる手術を行い、2〜3週間後にエキスパンダーに生理食塩水を注入し、徐々に周囲の皮膚を伸ばします。3か月から半年かけて十分伸ばした後、人工乳房に入れ換える手術を行います。

手術は日帰りで受けることも可能で、からだへの負担が少なく、新たな傷もできないという利点がありますが、大胸筋が残っていることが必要です。また、加齢とともにがんのない側の乳房が下垂するため、乳房の左右差が出てくる可能性があります。

自家組織による再建

腹部や背中の皮膚、筋肉、脂肪組織などを使って再建する方法です。

  • 腹直筋皮弁法(ふくちょくきんひべんほう)
  • 深下腹壁動静脈穿通枝皮弁法(しんかふくへきどうじょうみゃくせんつうしひべんほう)
  • 広背筋皮弁法(こうはいきんひべんほう)

などがあります。背中は組織量が少ないため、人工乳房と併用する場合もあります。

身体を動かしたときに自然な可動性があり、皮膚の感覚もあることが利点ですが、皮膚や筋肉を切除した部分に機能障害や傷が生じたり、入院が必要になるなどのデメリットもあります。

まとめ

今回は乳がんの症状や原因や治療法について解説いたしました。30歳〜64歳の女性に関しては死亡原因のトップである乳がん。すべての世代の女性にとってこの病魔は脅威であることは間違いありません。対策としては年に1回の乳がん検診の受診と、自分で月に1回は触診をして、万が一発症したとしても早期発見・早期治療につなげることです。毎月の自己検診は面倒がらずに是非実践してみてください。そして何か異変を感じたらすぐに医療機関を受診するようにしましょう。

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