胃潰瘍とは?

胃潰瘍は、胃壁表面にある胃粘膜に傷ができ、粘膜や組織の一部が欠損する病気で、40〜50歳代に発症します。自覚症状があまりなく、出血(吐血や下血)などの合併症が起こるまで気づかないこともあるため予備知識を持っておくことは重要です。今回は胃潰瘍について解説いたします。

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胃潰瘍とはどのような症状の病気なのか?

胃潰瘍は、胃角部とよばれる胃の中央部近く、胃体上部の湾曲した部位にしばしば潰瘍が発症する病気です。空腹時だけでなく、食後に腹痛や胃痛を覚えるのは、胃潰瘍に特徴的な症状です。

そのほかに胸焼け、げっぷ、食欲不振、吐き気、嘔吐、貧血などがみられます。下血は黒いタール状の便として出ますが、気づかないことが多く、吐血して初めて症状に気づく人もいます。年代別では40~50歳代に多く発症する傾向があります。

潰瘍は胃のどの部分にもできますが、特に胃角部や幽門部は好発部位といわれています。また、高齢者の胃潰瘍は、特徴的な心窩部痛、上腹部痛を訴えることは少なく、あっても軽いことが特徴です。

酸分泌の差とピロリ菌の種の関連性から、日本人では十二指腸潰瘍より胃潰瘍の発症率が高く、欧米では十二指腸潰瘍のほうが高い傾向が見られます。

胃潰瘍ががん化するというデータはありません。胃がんの人の多くはピロリ菌に感染しているというデータはあります。

【胃潰瘍の症状】

  • 腹痛
  • 出血(吐血と下血)
  • 過酸症(胸やけ、げっぷ)
  • 食後の胃痛
  • 腹痛:上腹部みぞおちあたりの鈍く持続する痛み
  • 香酸:胃酸が出すぎたり逆流するために酸っぱい液体が口まで上がってげっぷが出る
  • 食欲不振
  • 吐き気、嘔吐
  • 腹部の膨満感
  • 無症状(高齢者に多い)

※腹痛、出血、過酸症が胃潰瘍の三大症状と言われます。

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胃潰瘍とはどのような原因で発症するのか?

胃潰瘍は、胃液が胃の粘膜を消化してしまい、粘膜より下の層に欠損が生じた状態です。

ヘリコバクター・ピロリ菌が発見されて以降、胃潰瘍の原因は胃酸とともに、ピロリ菌感染であるという説が定着しつつあります。

胃全体にピロリ菌が感染し、その結果、粘膜が萎縮し、潰瘍が発生しやすくなります。このとき胃酸の分泌は通常より抑えられています。

胃潰瘍の原因としてもうひとつ大きな要因は薬物です。非ステロイド系抗炎症薬やステロイド薬、抗がん剤などが原因になりえます。

胃潰瘍の重症化で多いのは、抗血小板薬としてアスピリンを服用した場合や、腰痛や肩こりに悩みジクロフェナク、ロキソプロフェン、イブプロフェンなどの鎮痛薬を長期にわたり服用した場合です。こうした薬を服用するときは、酸分泌抑制薬、胃粘膜保護薬の併用は欠かせません。

また、高齢者では潰瘍が胃の上部に発生することもあり、薬剤やストレスが原因で、急性の潰瘍ができることもあります。

【胃潰瘍の原因】

  • 暴飲暴食、不規則な食生活
  • ピロリ菌:胃を守る胃粘液層に生息する菌で胃炎や胃潰瘍を引き起こします
  • 薬(非ステロイド性抗炎症剤、ステロイド剤など)
  • ストレス
  • 喫煙
  • 飲酒
  • コーヒー

胃潰瘍の治療法は?

胃潰瘍の受診科は内科、胃腸科、消化器内科、消化器外科になります。

治療法は、ピロリ菌がある場合はピロリ菌を除菌する治療を行います。ピロリ菌を除菌すると、多くの場合、胃潰瘍が治癒するだけでなく、再発の可能性も圧倒的に低くなります。除菌は保険治療で行えるため、近年、非常に普及しています。

ピロリ菌の除菌は1週間ほど抗菌薬を用いることが一般的です。胃酸やペプシンの消化力を抑えるための制酸薬や抗ペプシン薬の服用、胃酸やペプシンの分泌を抑えるための地型受容体拮抗薬、プロトンポンプ阻害薬の服用、あるいは胃酸やペプシンから粘膜を守り、潰瘍のできた組織を修復する胃粘膜防御因子増強薬、場合によってはストレスを軽減させるための抗不安薬などを併用する場合もあります。

70〜80%は成功しますが、除菌ができずに2回目の除菌が必要な場合もあります。抗潰瘍薬なしで非ステロイド系抗炎症薬を飲み続けると、潰瘍が再発しやすいと考えられています。年代別では60歳以上では半数近くが再発するというデータがあります。

症状の改善のためには、正しい食生活も不可欠です。ナッツ類などの固いものや、タケノコ、ゴボウ、イモ類などの繊維質の多いもの、タコ、イカなどの消化の悪いもの、コーヒー、アルコール、たばこ、炭酸飲料などの刺激の強いもの、熱すぎたり、冷たすぎたりする食事も控えましょう。長時間の空腹も避け、胃に負担をかけないようにしましょう。1日3回バランスと消化のよい食事を適量摂るように心がけましょう。喫煙、飲酒は控え、安静を保ってストレスをためない生活を送りながら、食事療法と薬物療法を併用することが基礎となります。薬物は制酸剤、粘膜保護剤などの抗潰瘍剤を使用します。

胃潰瘍そのものは放置しても治りやすい病気ですが、原因が除かれなければ再発を繰り返します。ヘリコバクターが確認された場合は、プロトンポンプインヒビターと抗生物質を使って治療します。

まとめ

今回は胃潰瘍について解説いたしました。自覚症状が少ない上に、年齢的にも40歳代から注意が必要な疾患ですので、胸焼け気味などのちょっとした健康状態の異変を感じた際には、すぐに専門医に相談するようにしましょう。

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