廃用症候群とは?

身体を使わないことにより生じる機能低下症状を総称して「廃用症候群」といいます。高齢者は、ちょっとしたことがきっかけとなり、廃用症候群を起こしやすくなります。高齢化が進む日本において、高齢者自身も、介護に関わる人たちも、誰もが知っておきたい身体機能の低下の症状です。今回は廃用症候群について解説いたします。

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廃用症候群とは何か?

ひと昔前は、治療が一通り終わった後は、安静にして体力が戻るのを待つことが主流でした。しかし横になって、身体を動かさずにいると、身体の様々な機能が失われていくことがわかってきました。これを廃用症候群とよびます。近年の医療現場では、廃用症候群を防ぐため、治療を始めてごく早い時期にリハビリテーションを始めるようになっています。

例えば、筋力は1週間安静にしていると20%も低下すると言われます。しかも、落ちた筋力を回復させるには時間がかかり、1週間の安静で落ちた筋力を元に戻すには1ヶ月の運動が必要と言われています。

また、関節が動かしにくくなり、起立や歩行などにも影響が出ます。骨がもろくなり、骨折しやすくなります。胃腸が不活発になるため便秘を起こしやすくなったり、呼吸機能が落ちて痰が出しにくくなり、誤嚥性肺炎を招くこともあります。

何よりも、あらゆることを他人にやってもらっていると、自尊心が失われ、リハビリへの意欲も薄れがちです。それでは自立できないばかりか、さらに全身が衰えていくことにもなります。

廃用症候群には様々な症状がありますが、代表的な症状は以下のとおりです。

  • 骨:骨粗鬆症
  • 関節:拘縮、尖足
  • 皮膚:薄く裂けやすい、褥瘡ができる
  • 心臓機能:低下して起立性低血圧
  • 消化機能:食欲不振、便秘
  • 周囲の事柄に無関心:精神活動性の低下

おもな廃用症候群の症状

運動器障害 筋萎縮、筋力低下
関節拘縮:関節の動く範囲が制限され、無理に動かそうとすると痛みを生じる
骨粗鬆症:骨がもろくなり、折れやすくなる
腰背痛
循環器障害 起立性低血圧:寝た状態からいきなり身体を起こすことで血圧が下がり、脳貧血症状を起こし、歩行不安定、転倒の原因になる
静脈血栓症、肺塞栓症
肺炎
皮膚 浮腫(むくみ)
褥瘡(床ずれ)
自律神経障害 便秘
尿失禁、大便失禁
低体温症
その他 抑うつ、食欲不振、拒食、睡眠障害、不眠、尿路感染、尿路結石

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廃用症候群の原因とは?

廃用症候群が特に問題になるのは、高齢者です。高齢者は病気やけがからの回復に時間がかかり、安静にしている時間が長くなりがちです。年をとってくると、筋力の衰えは若い人よりも速く進むといわれており、風邪で1週間寝込んだ後に、歩きづらくなることも珍しくありません。歩きにくいからと横になっていては、廃用症候群が進み、寝たきりになってしまうこともあります。「寝たきりは寝かせきりから」といわれるのは、過度な安静が廃用症候群を招くことを表しているのです。

高齢者では病気の初期に症状が出にくいため、こじらせてしまうことも少なくありません。また、骨が弱くなっているので、転倒すると骨折しやすいものです。寝込むリスクは若いときよりも大きいのですから、普段の健康管理を大切にしましょう。もし、病気やけがで安静にする必要があっても、医師の許可が出たら、すぐリハビリを始め、廃用症候群を予防しましょう。

廃用症候群を予防するためにどんなリハビリをするの?

最近は「回復期リハビリテーション病棟」を設けている病院が増えてきました。これは、脳血管障害(脳梗塞など)または大腿部の骨折によって入院した人を対象にした、リハビリを専門に行う病棟です。このような病気では、症状が強く、治療中の時期を急性期、症状が治まりベッドから離れられるようになった後を回復期とよびます。回復期は数週間から半年と、個人や症状によって異なりますが、その時期にリハビリを行なうことで、もっとも効果的に機能が回復します。

以前は、急性期が過ぎた後も、病室や自宅で静養することが多かったものです。リハビリに最適な回復期を安静に過ごしてしまったために、いたずらに廃用症候群が進んでしまいました。

そこで、回復期に入ったら、リハビリ専門の病棟に移り、障害を受けた機能の回復、ADL(日常生活動作)の向上、廃用症候群の予防などを目的にしたリハビリを集中的に行ないます。ひとりひとりの状態に合わせて、医師、看護師、理学療法士、作業療法士などが、本人や家族と相談しながらプログラムを作り、専門家が指導します。

回復期リハビリテーション病棟は、入院できる期間が決まっています。入院期間中に、病院でできるリハビリはひととおり終わらせます。可能であれば、入院中に一時帰宅をして、生活上の問題点があれば、専門家と相談して解決していきます。退院時には、自宅で行うリハビリが指導されます。

必要であれば、医療ソーシャルワーカーなどに、介護保険制度の利用方法、自宅の改修やリハビリ用の機器や道具の購入やレンタルなどの相談にのってもらえます。

回復期リハビリテーション病棟の利用については、主治医や看護師、地域医療連携室、各自治体の保健や福祉の窓口に問い合わせてみましょう。

まとめ

今回は廃用症候群について解説いたしました。廃用症候群は、当事者を寝かせきりにすることで進行してしまいます。脳梗塞や大腿部骨折などを負ってしまった場合は、医師からの適切な指導があるかとは思いますが、できる限り早くリハビリを開始し、寝たきりによる廃用症候群の進行を防ぐようにしましょう。

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