肺結核とはどのような症状の病気なのか?原因や治療法は?

肺結核は結核菌が肺に感染して起こる呼吸器感染症です。

結核自体は戦前から戦後にかけて日本国内の死因第一位の国民病でした。その後の医学の進歩や栄養状態の改善によって、一時は姿を潜めましたが、1990年代以降再び患者が増加し、近年においても新規患者数は毎年18,000人程度増えており、死亡者数も約1,800〜2,000人程度という現代病です。

今回は結核の中でも約9割の患者数を占める「肺結核」について解説いたします。

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肺結核とはどのような症状の病気なのか?

肺結核の主な症状は長期間続く咳と痰です。発熱や倦怠感、体重減少などをともなう場合もあります。かぜ症候群など他の疾患でもよくみられる症状ですが、2週間以上続く場合は注意が必要です。症状が軽い場合は気づかないことも多く、健康診断の胸部X線検査で異常が発見されることも少なくありません。

肺結核は何が原因で発症してしまうのか?

抗酸菌の一種である「結核菌」が肺に感染することで起こります。通常、結核菌は人間を中心とする哺乳類の体内でしか生存できません。自然界では、わずかな時間しか生存できないため、人から人への感染がほとんどを占めます。

肺結核の感染は、ほとんどの場合が空気感染です。感染者が咳やくしゃみをすると、結核菌を含む飛沫が飛びますが、このとき結核菌は水分に包まれた状態で床に落ちていきます。飛沫の一部は、包んでいた水分が蒸発して結核菌がむき出しになり、長時間空気中を浮遊します。この結核菌のみの状態を「飛沫核」といい、飛沫核を吸い込むことで生じる感染を空気感染と呼びます。

肺結核は他の感染症と大きく異なり、感染=発病とはならず、結核菌に感染しても約9割の人は発病しません。免疫機能が働き、肉芽腫(にくげしゅ)と呼ばれる細胞に結核菌が閉じ込められ、増殖が抑制されて眠った状態になるからです。発病しなければ咳や痰などの症状も出ないため、人に感染させる心配もありません。実際に発病するのは感染者全体の1割程度で、免疫の獲得が不十分な場合、または糖尿病や腎障害など、他の病気にかかったり、老化などが原因で免疫力が低下した場合に発病します。

結核菌に感染後、すぐに発病する初感染結核症(一次結核)と、感染してから時間をおいて発病する既感染発病(二次結核)に分けられます。若年層では、新たに感染し、感染後すぐに発病することが多く、成人、特に高齢層では感染後長期間経過してから、免疫力の低下によって発病するケースが多くみられます。

平成以降、結核が再び猛威を振るうようになったのはなぜか?

結核は1930年代から戦後にかけて、年間死亡者数15万人を超える我が国の死因第1位の国民病でした。その後、医学の進歩や栄養状態の改善によって忘れ去られつつある存在でしたが、平成以降再び猛威を振るいはじめ、1999年には、当時の厚生省が「結核緊急事態宣言」を出しました。

国内で結核患者が増加した理由の一つは、昔結核菌に感染した高齢者が数十年を経て発病しているためです。結核は感染しても発症率は10%程度ですが、これは免疫力によって結核菌を封じ込めているためで、結核菌は死滅したわけではなく肺の古い病巣で生き続けています。

そして加齢や人工透析、抗がん剤治療などで免疫力が落ちてくると、再び封じ込められていた結核菌が活動を始めるのです。結核菌はそれだけしぶとい菌だと言えます。

もう一つの理由は、結核の流行が起きていない時代が長く続いたため、結核菌に免疫力のない若者が増えたためです。結核はほとんど空気感染で、咳やくしゃみによる飛沫に含まれる結核菌を吸い込むことにより感染します。密閉した環境での集団感染も原因のひとつと言われています。

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肺結核はどのように治療するのか?

肺結核の治療は、数種類の抗結核菌薬による薬物治療が基本となります。

結核菌はどの薬に対しても耐性をもつという特徴があり、耐性菌ができるとその薬は効かなくなります。そこで、自分に有効な薬を見つける薬剤感受性試験を行い、効果のある薬を3剤から4剤併用する多剤併用療法を6〜9か月間続けます。

治療が順調にいけば、数週間〜1か月程度でほぼ症状はなくなりますが、完全に結核菌が体内からなくなるわけではありません。ここで治療を止めてしまうと再発する危険があります。

薬の不規則な服用も耐性菌になる危険性を高めますので、症状がなくなっても一定期間は確実に薬を服用し続けていくことがとても重要です。

そこで、服薬の徹底を図るために、医療従事者が薬を処方するだけでなく、目の前で確実に薬を服用することを確認し、完治するまで支援するDOTS(直接服薬確認療法)が結核治療では大変有効であり、大きな成果を上げています。

長期的な薬の服用で、吐き気、嘔吐、だるさなど、肝障害による副作用が出ることもあります。副作用だと思い込んで、勝手に薬の服用を中止すると耐性菌を作る原因にもなるため、副作用と思われる症状がある場合は速やかに医師に相談しましょう。

BCG接種

ウシ型結核菌を弱毒化させた細菌を利用した結核の発病を抑えるワクチンを「BCG」といいます。BCG接種により、軽い結核のような反応を起こして免疫をつくり、感染や発病の危険性を下げ、仮に発病した場合でも重症化を防ぐことができます。

特に乳幼児は免疫力が弱いため、結核性髄膜炎など重症化することがあるので、生後6か月までにBCG接種をするようにしましょう。ワクチンの効果は一生続くわけではなく、期限は接種後10〜15年と言われています。

以前は4歳未満の子供にツベルクリン反応検査を実施し、陰性の場合にBCG接種をしていましたが、法改正によって2005年4月以降は、生後6か月までなら無料で1回BCG接種することができるようになりました。ツベルクリン反応検査は行われません。

まとめ

今回は肺結核の症状や原因や治療法について解説いたしました。過去の病気というのは誤った認識で、飛沫に含まれる結核菌を吸い込むことにより誰でも感染の危険性があります。かつて感染した結核菌が、免疫力が落ちてくる高齢者の体内で再び活動するために発症するケースも珍しくありません。万が一かかってしまった場合は、しっかりと長期治療に専念し、特に処方された全部の薬を確実に飲み続けることが重要です。

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