お茶の栄養成分や効能と抗がん作用を活かす効果的な飲み方

緑茶はがん予防に大きな効果があることが、数々の疫学調査や動物実験などによって証明されています。緑茶に含まれる成分のうち、がん抑制の主力となるのは、緑茶の渋味のもとであるカテキン(ポリフェノールの一種)です。カテキンはがん細胞にアポトーシス(細胞自己死)を誘導することが実験的に示されています。

カテキンの中でも特に注目されているのはカテキンの主成分であるEGCG(エピガロカテキンがレート)です。このほか、緑茶にはβ-インターカロテンやビタミンC・E、クロロフィル(葉緑素)、食物繊維などの抗がん成分も含まれており、これらの効果も期待できます。

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緑茶に含まれる栄養成分

緑茶の成分と効用

栄養素 はたらき
カテキン  がんの発生・促進を抑える
脂肪肝を予防する
コレステロールを下げる
食中毒予防
腸内の善玉菌を増やす
カフェイン 覚醒・疲労回復作用
利尿作用
エピガロカテキンガレート  がんの予防
食物繊維  がんの予防
クロロフィル  何の予防
タンニン  口臭予防
 β-カロテン  がんの予防
抗酸化作用
ビタミンC がんの予防
抗酸化作用
ビタミンE がんの予防
抗酸化作用

緑茶(煎茶) 2g中の主な栄養成分
※常用量にグラム緑茶葉小さじ1の栄養成分値

栄養素 含有量
カロテン  260μg(0.26mg)
ビタミンC  5.2mg
ビタミンB  1.36mg

緑茶の抗がん成分は、ポリフェノールの一種であるカテキンとエピガロカテキンガレートのほか、抗酸化ビタミンのβ-カロテン、ビタミンC・Eがあります。さらに緑色の色素のクロロフィル、食物繊維にも抗癌作用があります。ただし、抗酸化ビタミンや食物繊維は緑茶の抽出液には含まれないので、茶葉を食べなければ摂ることができません。そのほか、これもまたポリフェノールの仲間である フラボノイドが含まれ、口臭予防効果や抗菌作用を持っています。

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緑茶に含まれる栄養成分の効能

カテキン

がんの発生段階をたたく
緑茶のがん抑制効果を具体的に示すものとして、東京家政学院短期大学の桑野和民助教授(当時)がが行なった実験があります。

がんが発生するまでの段階は、

  • イニシエーション……細胞がガン化する段階
  • プロモーション………ガン細胞が増殖する段階

の2段階に分けられています。

桑野助教授は、1週間の予備飼育を行なったマウスにENNGという発ガン物質を混ぜた水を与え、4週間のイニシエーションを行ない、続けて普通の水を与えて14週間のプロモーションを行ないました。

そしてイニシエーションとプロモーションの段階で、緑茶などを混ぜたエサを与え、がんの抑制効果を調べたのです。実験は次の3つに分けて行われました。

<実験A>
イニシエーションをしたマウスを2グループに分け、プロモーション期間中、一方には普通のエサ、もう一方には緑茶粉末を混ぜた餌を与えた。

<実験B>
イニシエーションの段階で、緑茶を混ぜたエサを与え、プロモーション段階では普通のエサを与えた。さらに同じ手順で、ウーロン茶と紅茶についても調べた。

<実験C>
マウスを3グループに分け、それぞれに普通のエサ、緑茶入りのエサ、紅茶入りのエサを、予備飼育から実験終了までずっと与え続けた。

実験終了後、マウスを解剖して、がんの発生個数を調べました。結果は下のグラフの通り。緑茶を与えていたグループはいずれの実験においてもがんの発生個数が低かったのです。つまり、緑茶に発癌を抑制する効果があることがはっきりしたわけです。

緑茶によるガンの抑制効果

緑茶によるがんの抑制効果
緑茶の抽出液ではなく、茶葉入りのエサによるマウスの発癌抑制効果を調べた実験結果です。比較のために、元は同じ緑茶の茶葉でも、製法工程が異なる紅茶と烏龍茶の茶葉を与えたマウスとも比べて、その結果が割り出されました。普通のエサのみでは50%以上に発癌が起こっています。また紅茶やウーロン茶の場合は、普通の餌よりは発がんが抑えられているものの、緑茶に比べるとやはり高い発がんを示しています。このことから緑茶のカテキンにこそ特有の抗がん作用があることが分かります。

エピガロカテキンガレート

消化器系のがんを抑える
緑茶に含まれるカテキンの主成分エピガロカテキンガレート(EGCG)が、消化器系のがん、特に胃と十二指腸のガンを抑えるのに有効であることも確認されています。実験を行なったのは、京都府立医科大学第一外科の山根哲郎氏(当時)らのグループです。

山根氏らは、マウスに十二指腸がんを誘発させる発ガン物質を飲み水に混ぜて与え4週間飼育しました。これを2グループに分け、一方には普通の水を、もう一方にはEGCGを、実験5週目から14週間毎日投与しました。そして16週目に、マウスを解剖して、十二指腸がんの発生率を調べてみたのです。

その結果、ガンの発生個数は、普通の水を与えていたグループが20個(発生率63%)であったのに対して、EGCGを与えていたグループは6個(発生率20%)と、なんと1/3以下に抑えられていました。

山根氏らは、胃がんについても同様の実験を行なっています。今度はラットに、胃がんを誘発する発ガン物質を混ぜた飲み水を、28週間毎日与え続けました。そして、やはり2グループに分けて、一方には普通の水を、もう一方にはEGCGを、16週間毎日投与し、実験44週目にラットの胃を調べてみたのです。

結果は、普通の水を与えていたグループはがんの発生個数が21個(発生率62%)だったのに対し、EGCGを与えていたグループは11個(31%)に抑えられていました。つまり、EGCGは胃がんに対しても有効であることが明らかになったのです。

これらの実験結果から、EFCGには、特に発がんのプロモーション過程を抑制する効果があるのではないかと考えられています。

緑茶には、EGCGと構造がよく似たカテキンもいくつか含まれており、EGCGほどではないものの、発ガン抑制作用があることが認められています。

胃がんの引き金になると考えられる、ヘリコバクター・ピロリ菌に対して抗菌作用があるので、その点からも胃がん予防に期待が持てます。このピロリ菌の活動を抑えることから、濃いめのお茶を一日3〜4杯飲むことが勧められます。

また、カテキンは十二指腸がんや胃がんばかりでなく、小腸がん、肺がん、尖形コンジローマ(陰茎イボ)を抑えるという報告も出ています。

エピガロカテキンガレート(EGCG)による消化器がんの抑制効果

エサの状態 腫瘍発生率(%)
十二指腸がん 発がん物質+水道水 20/30(63%)
発がん物質+EGCG 6/30(20%)
胃がん 発がん物質+水道水 21/34(62%)
発がん物質+EGCG 11/35(31%)

エピガロカテキンガレートは、緑茶に含まれるもう一つのポリフェノールで、やはり抗酸化作用があり、がんの発生を抑えるとされています。特に消化器のがん予防に効果を示しました。上記の表は発ガン物質を与えたマウスとラットに、水道水のみを与えた場合と、エピガロカテキンガレートを与えた場合のがんの発生率を調べたものです。水道水だけでは発がんが抑えられず、十二指腸にも胃にも高い率でがんが発生していますが、エピガロカテキンガレートを与えると、十二指腸のがんも胃がんも、ともに抑えられているのがわかります。

β-カロテン、ビタミンC、ビタミンE

カテキンの働きをサポートしてがんを防ぐ
緑茶の葉には、β-カロテンやビタミンC、ビタミンEなども豊富に含まれています。
β-カロテンやビタミンC、Eには、がんを発生させる活性酸素を無毒にして細胞の酸化を防ぎ、がんの発生を抑制する抗酸化作用があるのです。

ビタミンCにはビタミンEの抗酸化作用を増強する作用があるだけでなく、体内のインターフェロンの産生を高めて生体の免疫力を高め、がん細胞の発生・増殖を抑える作用もあるといわれています。

クロロフィル、食物繊維

発がんを抑える作用がある
緑茶に含まれるクロロフィルや食物繊維にも、がんを予防する効果があります。岡山大学の根岸友恵氏らが行なったクロロフィルの効果に関する実験内容をご紹介しましょう。

その実験ではショウジョウバエの幼虫に、発がん物質とクロロフィルを混ぜたエサを与えてみました。すると、発がん物質だけを与えたグループは、オスが成虫にならないうちに染色体異常を起こして死んでしまいました。しかしクロロフィルを混ぜていたグループは、オス・メスともに成虫になることができたのです。なぜクロロフィルにこうした効果があるのかはわかっていませんが、少なくとも発癌を防ぐ作用があることは確かと言えるでしょう。

食物繊維は、便の量を増やして便秘を予防します。排便がスムーズになれば発ガン物質の排泄も早まるので大腸がんの発生を抑えることができます。また便の量が増えると発ガン物質の毒性が弱められるという利点もあります。

“お茶どころ”静岡ではがんが少ない

お茶の名産地・静岡で「お茶の国際会議」が開かれた際に、静岡県立短期大学の小國伊太郎教授(当時)が発表した研究報告に注目が集まりました。

小園教授は、県内でも胃がんの発生率が最も低い3つの町(中川根町、本川根町、川根町)の住民を対象に調査を行なったところ、彼らが毎日緑茶をたくさん飲んでいるということが分かったのです。しかも、やや濃いめのお茶を好み、茶の葉を頻繁に取り替えるという飲み方の特徴もわかりました。

ちなみに、当時の全国の平均胃がん発生率を100%とすると、中川根町の胃がん発生率は、男性が20.8%、女性が29.2%と大幅に下回っていました。

紅茶の色素にも抗がん作用がある

若い女性の間では、緑茶よりも人気なのが紅茶です。好みの香りや味を探したり、自分流のブレンドを楽しめることから紅茶ブームが生まれたほどです。市販のドリンク類でも、紅茶類は人気を誇っています。その紅茶にも緑茶のような抗がん作用があることが分かったのです。

緑茶は摘んだ葉を酵素が働かないうちに加熱して乾燥させたものです。それに対し、十分な発酵過程を経ているのが紅茶です。

紅茶の成分研究はまだ少ないのですが、がんに有効な成分がわかっています。その抗がん成分の一つは緑茶と同じカテキンですが、もう一つが紅茶の名前にも由来する、赤い色の成分のテアフラビンという成分です。

テアフラビンにも強力な抗酸化作用があり、がんをはじめ、高血圧、動脈硬化、老化などの予防に効果を発揮します。

ちなみに抗がん効果を求めるならミルクティーがおすすめです。ミルクにも強い抗がん作用があるので効果が倍増します。レモンティーの時は、レモンの皮を剥いてから浸しましょう。

沖縄特産のギン茶もがんに効く

熱帯・亜熱帯地方のアルカリ土壌地帯に繁茂しているマメ科植物ギンネム。沖縄にもギンネムが至るところに自生しています。ギン茶はこのギンネムを発酵させて作った沖縄の特産茶ですが、愛飲者から高血圧や糖尿病の数値がよくなった、骨粗しょう症が改善した、などの声が相次ぎ、注目されているお茶です。

ギン茶を開発した国立琉球大学農学部の本郷富士弥教授らは、ギン茶に胃がんや大腸がんを抑える効果もあると推測しています。これはギン茶に多種類のミネラル類や食物繊維などのほか、カルシウムが大量に含まれているからです。その量はなんとウーロン茶の50倍です。

カルシウムには、胃がんの原因となる塩分による胃粘膜の破壊を抑え、大腸がんを発生させる胆汁酸を中和する働きがあります。現に、アメリカの疫学調査によると、カルシウムを多く摂取している人は大腸がんになりにくいことがわかっています。日本人はただでさえカルシウム不足なので、ギン茶は非常におすすめです。

緑茶に含まれる栄養成分を活かす効果的な飲み方

飲むだけでなく是非食べたい

緑茶には、玉露、煎茶、番茶、抹茶、ほうじ茶などいろいろな種類があります。

このうちカテキンの含有量が最も多いのは番茶です。玉露や煎茶はあまり渋みがなく、むしろ甘さを感じますが、これは番茶に比べてカテキンの含有量がやや少ないからです。ほうじ茶はほとんど渋味がありませんが、これは高温で焙煎する時にカテキンが分解されてしまうからです。抹茶は、日常的に飲むには高価すぎるので、あまり実用的とは言えません。

そう考えると、おすすめは番茶、玉露、煎茶あたりになります。ただし玉露も抹茶と同じく価格が高いので、普段飲むには番茶や煎茶が一番よいでしょう。

緑茶は飲むだけでなく、ぜひ食べてほしいものです。と言うのも、β-カロテンやビタミンE、クロロフィル、食物繊維などは、水分中には抽出されないので、飲むだけではその効果が期待できないからです。

食べるのに一番適した緑茶は上級煎茶です。番茶や下級煎茶のほうが食物繊維の含有量は多いのですが、これらは硬くて食べにくいのです。また、抹茶や玉露は価格が高いうえに、栄養的にも煎茶に比べるとビタミンCやE、食物繊維などの含有量が少なくなります。

飲むなら1日10杯、食べるなら6gが目安

がん予防効果を期待するなら、1日10杯飲むのがよいとされています。しかし、お茶好きの人でも10杯となるとかなりきついので、これはあくまでも目標と考えてください。食事やおやつどきには緑茶を必ず飲む習慣をつけて、最低でも5杯は飲むようにしたいものです。

緑茶を食べる場合は1日6g程度を目安にしてください。ただ、そのままでは食べづらいので、粗挽きにして、ご飯やおかずにふりかけて食べるようにすると良いでしょう。

緑茶のふりかけでお茶を食べる
最近では食用の緑茶も市販されていますが、家庭でも簡単に作ることができます
①使用する茶葉は煎茶でよい。茎茶は仕上がりが硬くなるので、普通の茶葉を用いる
②煎茶の茶葉に、カツオブシやジャコ、桜エビ、青のりなど好みの材料を加え、塩を少々混ぜる。これをミキサーにかけるか、すり鉢でする。湿気に注意して、ビンか空き缶などに入れて保存する。

まとめ

今回は緑茶の健康効果や、栄養成分を無駄にしない効果的な飲み方や摂り方を紹介いたしました。特に、煎茶を食べて栄養成分を丸ごと摂り入れるという方法は、健康効果やがんの抑制作用を活かすという観点から大変おすすめです。簡単に実践できますので、是非、今日からお茶を食べる習慣を始めてみてはいかがでしょうか?

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