癌とはどのような病気なのか?

日本人の死亡原因の第1位である「がん」。一昔前に比べれば、早期発見によって克服できる病気という認識が広がりましたが、実際は早期発見ができたとしても治療による克服率は6割程度と言われており、難病であることに変わりはありません。

当然ですが、誰もができることなら癌になんてかかりたくありません。そもそもこの憎き病魔・ガンはどのような経緯で発症してしまうのでしょうか?今回は人類の敵・ガンについての基本的な知識をご紹介いたします。

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癌とはどういう病気なのか?

日本人の死因のトップを占める「癌」は、医療の進歩した現在でも、こわい病気だと考えられています。

がんの発症には、遺伝子の異常が関係しますが、その遺伝子に異常を起こさせる要因には、生活習慣も深く関わっています。遺伝子に起こった異常が、細胞に影響してがん細胞を発生させるのです。

がん細胞は誰でももっており、毎日3,000~6,000個発生しています。普通、がん細胞はある時点で成長も増殖も抑えられますが、突然変異で勝手に成長すると、潜在的であったがんが無限に増殖を始めます。周囲の組織を侵すだけではなく、癌細胞ははがれやすい性質をもっているので、体のあちこちに転移して全身をむしばんでいき、命を奪ってしまうのです。

癌とがん(ガン)の違いは?

なお、「がん」とは一般には悪性腫瘍のことを指しますが、厳密には上皮細胞に発生するものが「癌」で、それ以外の部位に発生するものは「肉腫」と呼ばれます。癌と肉腫、それに白血病やリンパ腫などを加えたすべての悪性腫瘍の総称を「がん」または「ガン」と表記します。ただし当サイトでは「癌」と表記すべき語句でも一部ひらがなやカタカナ表記を使用しています(例:胃癌→胃がん・胃ガン など)。ご了承ください。

ガンの種類と発生する部位

種類 対応する細胞 発生する部位
 扁平上皮癌
(へんぺいじょうひがん)
扁平上皮細胞 食道、皮膚、口腔、肺、膣、

子宮頸部、陰茎、陰のう 等

腺癌
(せんがん)
腺上皮細胞 胃、腸、乳房、肝臓、腎臓、肺、

甲状腺、卵巣、子宮体部、前立腺

未分化癌 対応の細胞は不明 どこでも
肉腫 肉腫 筋細胞、線維細胞 骨、筋肉、軟部組織
悪性リンパ腫 リンパ球 リンパ節、脾臓、扁桃
白血病 骨髄細胞、リンパ球 骨髄
多発性骨髄腫 形質細胞 骨髄

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癌と遺伝子はどういう関係なのか?

発がんには遺伝子が関係している

細胞には遺伝子(DNA)がありますが、これが発がん物質による刺激で傷つけられて突然変異を起こし、がん遺伝子になります。がん遺伝子に変化する遺伝子を原がん遺伝子(プロトがん遺伝子)といい、正常な状態では、細胞の増殖をコントロールする働きをもっています。

ところが、原がん遺伝子が突然変異を起こして、がん遺伝子になると、細胞の増殖ばかりが促進されてしまうのです。これが、発がんのきっかけになります。

しかし、細胞の中には、がん化を抑える役割をもつ、がん抑制遺伝子も存在しています。このがん抑制遺伝子が欠けていたり、働きが弱いと、がん化が進んでいきます。

なお、体には免疫機構が備わっており、異物を排除する役割を担っています。それがTリンパ球やNK(ナチュラルキラー)細胞、マクロファージなどです。がん細胞は、これらの防御の網の目を巧みにかわして増殖しつづけ、進行していきます。

がん細胞になるまで

がん遺伝子

細胞の中に存在する正常な遺伝子が、突然変異を起こしてがん遺伝子になります。がん遺伝子は、細胞の無制限の増殖を引き起こす性質を持ち、新生血管をつくって周囲の正常な細胞を侵していきます。

遺伝子に異常を起こさせる要因には、放射能、紫外線のほか、発がん物質と言われる食品中の化学物質や、生活環境中に存在する化学物質などがあります。さらにウイルスも関係しています。

近年最も注目されているのは、体内で発生する活性酸素です。遺伝子に傷をつけたり、細胞を酸化させることから、ガン発生の原因として非常に強力な存在です。

がん抑制遺伝子

正常細胞に存在し、がん化を抑える働きをもつ遺伝子です。この遺伝子は、細胞が異常に増殖するのを防ぎ、誤った遺伝情報をもつ細胞を死滅させます。

変化する日本人の癌

日本では、以前は男女ともに胃がんが多かったのですが、近年では大腸がん、肺がん、女性では乳がんが増加傾向にあります。これは、生活習慣の変化によるものです。

かつての日本は味噌。醤油、漬物や干物などによって、塩分過多の食習慣が主流で、そのため胃がんが非常に多く見られました。しかし、冷凍技術や輸送技術が進歩したり、健康ブームの影響もあって「減塩」という考え方が普及したおかげで徐々に胃がんは減少してきました。

また、検査・診断・治療の技術が進歩したことも大きく影響しています。

ところが、近年では食生活が欧米化してして、脂肪の摂取量が増加し、野菜や海藻類の摂取量が減少したため、大腸がんや乳がんが増加しています。

特に急増しているのが肺がんです。中高年の男性に多く見られます。肺がんの原因第1位に挙げられるタバコは、喫煙者だけでなく副流煙の害もあることから、深刻な問題となっていますが、2020年の東京オリンピック開催に向けて諸外国の観光客を受け入れる上で、禁煙環境整備を世界標準に近づけるため、健康増進法改正案による受動喫煙防止対策の強化が議論されている最中です。

イニシエーターとは?

正常な細剣の遺伝子を場つけ突然変異を起こすきっかけとなるもの。タバコ、紫外線や放射線、食べ物に含まれる化学物質などがイニシエーターになります。

プロモーターとは?

発がん促進物質のことを指します。プロモーターはイニシエーターの働きを助け、両方が作用して、がん化が起こります。タバコや塩分、活性酸素がプロモーターになります。

例えば、胃がんでは塩分、肝臓がんでは催眠鎮静剤や胆汁に含まれるコール酸、乳がんや大腸がんでは高脂肪の食事がプロモーターとして作用するなど、現在ではそれぞれの臓器のがんのプロモーターの存在が明らかになりつつあります。

癌が起こる主な原因

がん化はいくつかの段階を経て起こる

発がんのプロセスには、大きく2つの段階があります。

第1段階:イニシエーション

正常な細胞に、イニシエーターと呼ばれる発がん物質が入り込んで、遺伝子に傷をつけてしまいます。その傷が遺伝子を変化させ、突然変異を起こします。

遺伝子は、体を構成しているタンパク質を合成するための設計図を遺伝情報として持っています。その設計図が壊れてしまうため、突然変異が起こるのです。

イニシエーションを引き起こすものをイニシエーターといいます。遺伝子は、日常生活の中でタバコや食べ物などのイニシエーターによって、常に傷つけられる危険にさらされているのです。

第2段階:プロモーション

イニシエーションで遺伝子が突然変異を起こした細胞に、プロモーターと呼ばれる発がん促進物質が影響すると、さらに遺伝子の傷がふえ、細胞が変化し、がん細胞の性質が現れます。これによって、細胞が異常に増殖して、ガンへと変化していきます。

この後、プログレッションと呼ばれる段階を経て、さらに悪性化するという多段階説もあります。

がん化

がん化した細胞が、さらに増殖を続けると、周囲の正常な組織を破壊し、ガンとして認識できるようになります。

発がんの原因にはどんなものがあるのか

遺伝子を傷つけ、異常を起こさせる要因には、さまざまなものがあります。その中でも、化学物質が大きな影響を与えています。

化学物質は、食べ物にも含まれており、食べ物とタバコが、がんの原因の2/3を占めるといわれます。がんの原因は特別なことではなく、ふだんの生活のなかに潜んでいるのです。

ライフスタイルの中の発がん要因

ストレス

ストレスがたまると、自律神経やホルモンの働きを乱し、免疫力も落ちてしまいます。そのため、ストレスはがんに対する抵抗力を低下させてしまいます。

食べ物

がんの原因の1/3は、食ベ物にあると考えられています。塩分や脂肪の多い食生活はリスクを高めます。また、食べ物と一緒に体内に入る発がん物質もあります。

タバコ

たばこには100種類以上もの発がん物質が含まれています。副流煙にも強い発がん物質が含まれ、本人だけでなく周囲の人のリスクも高めてしまいます。

アルコール

適量ならば健康を害することはありませんが、アルコール摂取量が多いほど、発がん率が高いことがわかっています。タバコが加わると、発がんの危険性がさらに大きくなります。

※飲酒習慣が影響するガン

アルコールそのものに発がん性はありませんが、多くのがんを促進する作用があるといわれています。

強い酒を飲む地方の人に食道がんや口腔がんが多くみられたことから、アルコールの通り道である口の中や食道、胃の粘護に刺激を与えるためと考えられます。

また、飲酒は肝臓にも負担をかけます。1日に肝臓が分類できるアルコールの量は、目本酒なら6合、ビールなら大ビン6本ですが、個人差があります。しかも、これはあくまでも限界量です。適量はこれよりもぐっと少なく、日本酒なら1〜2合、ビールなら大ビン1本、ウイスキーならダブルで2杯が目安です。

ポリフェノールが入っているからガンの予防になるといっても、ワインも飲みすぎは要注意です。とにかく、飲みすぎはガンだけでなく、肝臓の機能低下を招きます。くれぐれも飲みすぎには注意してください。

その他の発がん要因

放射線

放射線が遺伝子を変性させ、細胞のがん化を起こさせる要因となります。白血病や甲状腺ガンなど、多くのがんを引き起こすと言われています。

遺伝

遺伝性のものは非常に少ないが、子供のがんである網膜芽細胞腫やウイルムス腫瘍は遺伝が原因となる。また、ガンのできやすい体質が遺伝するものもあり、大腸がんに進行しやすい家族性大腸ポリポージスや色素性乾皮症が代表的です。

環境汚染物質

自動車の排気ガスに含まれるベンツピレンやニトロピレンに発癌性があるといわれています。ゴミ焼却時に発生するダイオキシンについては、かつては強い発ガン性が疑われていたが、その後の研究によって、発がん性は弱いとする報告も出てきており、専門家の間でも見解が割れています。

紫外線

紫外線は太陽光線に含まれており、UV-A・B・Cの3種類があり、皮膚がんにはUV-Bが関係している。オゾン層の破壊で地表に降り注ぐ紫外線が増加しているため、日焼けには注意が必要です。

がんの原因となる主なウイルス・細菌

HTLV-1(ヒトT細胞白血病ウイルス)

このウイルスによって起こる成人T細胞白血病は、40歳以降に多くみられます。このウイルスのキャリアは、日本では九州、四国、沖縄に多い傾向があります。

肝炎ウイルス

肝臓がんに関係しているといわれているものに、B型肝炎ウイルス(HBV)とC型肝炎ウイルス(HCV)があります。日本人の肝臓がんのほとんどがC型肝炎ウイルスによるものです。

パピローマウイルス

皮膚や粘線にイボをつくるウィルスです。皮膚型と粘膜型に分かれます。このうちのある種の型が、子宮頸がんや皮膚がんに関係しています。

EBウイルス

ヘルペスウイルスの仲間で、唾液から感染し、バーキットリンパ腫や、上咽頭がん、胃がんにも関係しています。

ヘリコバクター・ピロリ

この細菌と胃がんとの関係が知られています。日本では、40歳以上の約80%の人が感築しているといわれています。慢性萎縮性胃炎との合併で、胃がんのリスクが高まると考えられています。

まとめ

今回は人類の敵「がん」についての基礎知識をご紹介いたしました。ガンについての医療や研究は日進月歩で進んでいますが、100%完治できるまでにはまだまだ時間がかかりそうです。生活習慣を改めるなど、できるだけ発症リスクを抑えた生活を送り、健康な体を維持することが唯一のできる範囲の予防策といえるでしょう。心当たりの発症リスクがある方は、早速今日から生活を見直してみることをお勧めいたします。

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